使徒行伝 27:6-25 日本語話し言葉 1955 (JA1955)

6. そこに、イタリヤ行きのアレキサンドリヤの舟があったので、百卒長は、わたしたちをその舟に乗り込ませた。

7. 幾日ものあいだ、舟の進みがおそくて、わたしたちは、かろうじてクニドの沖合にきたが、風がわたしたちの行く手をはばむので、サルモネの沖、クレテの島かげを航行し、

8. その岸に沿って進み、かろうじて「良き港」と呼ばれる所に着いた。その近くにラサヤの町があった。

9. 長い時が経過し、断食期も過ぎてしまい、すでに航海が危険な季節になったので、パウロは人々に警告して言った、

10. 「皆さん、わたしの見るところでは、この航海では、積荷や船体ばかりでなく、われわれの生命にも、危害と大きな損失が及ぶであろう」。

11. しかし百卒長は、パウロの意見よりも、船長や船主の方を信頼した。

12. なお、この港は冬を過ごすのに適しないので、大多数の者は、ここから出て、できればなんとかして、南西と北西とに面しているクレテのピニクス港に行って、そこで冬を過ごしたいと主張した。

13. 時に、南風が静かに吹いてきたので、彼らは、この時とばかりにいかりを上げて、クレテの岸に沿って航行した。

14. すると間もなく、ユーラクロンと呼ばれる暴風が、島から吹きおろしてきた。

15. そのために、舟が流されて風に逆らうことができないので、わたしたちは吹き流されるままに任せた。

16. それから、クラウダという小島の陰に、はいり込んだので、わたしたちは、やっとのことで小舟を処置することができ、

17. それを舟に引き上げてから、綱で船体を巻きつけた。また、スルテスの洲に乗り上げるのを恐れ、帆をおろして流れるままにした。

18. わたしたちは、暴風にひどく悩まされつづけたので、次の日に、人々は積荷を捨てはじめ、

19. 三日目には、船具までも、てずから投げすてた。

20. 幾日ものあいだ、太陽も星も見えず、暴風は激しく吹きすさぶので、わたしたちの助かる最後の望みもなくなった。

21. みんなの者は、長いあいだ食事もしないでいたが、その時、パウロが彼らの中に立って言った、「皆さん、あなたがたが、わたしの忠告を聞きいれて、クレテから出なかったら、このような危害や損失を被らなくてすんだはずであった。

22. だが、この際、お勧めする。元気を出しなさい。舟が失われるだけで、あなたがたの中で生命を失うものは、ひとりもいないであろう。

23. 昨夜、わたしが仕え、また拝んでいる神からの御使が、わたしのそばに立って言った、

24. 『パウロよ、恐れるな。あなたは必ずカイザルの前に立たなければならない。たしかに神は、あなたと同船の者を、ことごとくあなたに賜わっている』。

25. だから、皆さん、元気を出しなさい。万事はわたしに告げられたとおりに成って行くと、わたしは、神かけて信じている。

使徒行伝 27