20. その夜、神様はバラムに命じました。 「彼らといっしょに行ってもよい。 だがいいか、わたしが命じることだけをするのだ。」
21. 翌朝、バラムはろばに鞍をつけ、モアブの指導者たちと出かけました。
22-23. ところが、バラムが神様の命じられたとおりにしなかったので、神様は腹を立て、途中で殺してしまおうと御使いを送ったのです。 そうとは知らないバラムは、供の者二人と先を急いでいました。 と、突然、バラムのろばの前に、抜き身の剣を下げた神様の使いが、立ちはだかったではありませんか。 驚いたろばは急に駆けだし、道ばたの畑に入り込んでしまいました。 バラムはわけがわかりません。 あわてて鞭をあて、道に戻しました。
24. 神様の使いは、今度はぶどう園の石垣の間の道に立っていました。
25. その姿を見るなり、ろばは身をもがき、体をぎゅっと石垣に押しつけたので、バラムは足をはさまれてしまいました。 おこったバラムは、また鞭をあてました。
26. すると、神様の使いは先に行って、道幅の狭い所に立ちふさがりました。 これでは、どうにも通りようがありません。
27. ろばは道にうずくまってしまいました。 バラムはとうとう頭にきて、ろばをひっぱたきました。
28. このとき急に、ろばが口をききました。 神様がそうなさったのです。 「どうして三度もぶつんですか。」
29. 「おれをばかにしたからだ。 剣があれば、切り殺してやるところだ。」
30. 「でも、これまでに、私が一度でもこんなことをしたでしょうか。」「いや、ない。」
31. その時バラムの心の目が開き、剣を抜いて行く手に立ちはだかっている神様の使いが見えました。 バラムはびっくりして、その方の前にひれ伏しました。