創世記 32:11-32 リビングバイブル (JLB)

11. 神様、どうかお助けください。 兄はどんな手荒なことをするかわかりません。 私たち一家を皆殺しにするかもしれないのです。考えただけでもぞっとします。 

12. お約束では、私を祝福し、子孫を海辺の砂のように多くしてくださる、ということでした。 今そのお約束を思い出してください。」

13-15. その夜はそこに泊まり、兄エサウへの贈り物を用意しました。雌やぎ二百頭雄やぎ二十頭雌羊二百頭雄羊二十頭乳らくだ三十頭とその子雌牛四十頭雄牛十頭雌ろば二十頭雄ろば十頭

16. ヤコブは召使たちに、ひと足先に群れを追って行くように指示しました。 また、それぞれの群れの間に距離を置くようにも言いました。

17. 先頭の群れを追う男たちには、特に念を押しておかなければなりません。 兄エサウと出会ったら、きっと「どこへ行くのか。 主人はだれで、この家畜はだれのものだ」と聞かれるだろうから、 

18. 「エサウ様ですね。 これはみな、あなた様の召使ヤコブのもので、ご主人のあなた様に差し上げる贈り物でございます。 ヤコブもすぐあとからまいります」と答えるように、と言い含めました。

19.  あとに続くグループにも同じようにし、同じことを言うよう指示しました。 

20. 顔を合わせる前にまず贈り物をして、なんとかエサウをなだめようというのです。 「こうすれば、いくら兄さんでも手荒なことはしないだろう。」 

21. もう贈り物は持って行かせたし、その夜はテントで寝ることにしました。

22-24. しかし、やはり心配でなかなか眠れません。 まだ夜中だというのに起き出し、二人の妻と二人のそばめ、それに十一人の子供を起こしました。 家族を連れてヨルダン川を越え、無事にヤボクの渡しを渡り終えるのを見届けると、もう一度テントに戻りました。 もう全く一人きりです。 と、そこへ一人の人が現われたではありませんか。 二人は明け方まで格闘を続けました。 

25. なかなか勝負がつきません。 その人はとうとう、ヤコブの腰を打って関節をはずしてしまいました。

26.  「もう行かせてくれ。 じきに夜が明ける。」 その人が頼みました。しかしヤコブは、はあはあ息をはずませながら答えました。「私を祝福してくださるまでは絶対に離しません。」

27.  「おまえの名前は何というのか。」「ヤコブと申します。」

28.  「いや、もうヤコブではない。 神と戦い、強さを示したのだから、イスラエルと変えるがいい。 これからは人と戦っても勝つだろう。」

29.  「よろしければ、お名前をお聞かせください。」「いや、それはできない。」 そう答えると、その人はその場でヤコブを祝福しました。

30.  ヤコブはそこをペヌエル〔「神様の顔」の意〕と名づけました。 彼が、「神様とじきじきお会いしたのに、死なずにすんだ」と言ったからです。 

31. さあ、出発です。 日ものぼりました。 しかし、腰の関節がはずれていたので、足を引きずらなければなりませんでした。

32. イスラエル人が今でも腰の肉を食べないのは、このためです。

創世記 32