3. パウロは、きっとアナニヤを見すえてやり返しました。 「神様に罰せられるのは、おまえのほうだ。 うわべだけは取りつくろっても、自分でおきてを破っている。 私を打てだと、なんという裁判官か。」
4. 「それが大祭司様に対することばかっ!」 そばにいた者たちが叫びました。
5. 「あの人が大祭司様ですって? それは知りませんでした。 聖書には、確かに『指導者の悪口を言ってはならない』と書いてありますな。」
6. そのうちパウロは、議会にはサドカイ人(神殿を牛耳っていた祭司階級。 ユダヤ教の主流派)もいれば、パリサイ人(信徒で、特におきてを守ることに熱心なユダヤ教の一派)もいることに気づき、こう叫びました。 「皆さん。 私は先祖代々のパリサイ人です。 私が今ここでさばかれているのは、死人の復活を信じているからなのです。」
7. このことばで、議会はパリサイ派とサドカイ派に真っ二つに分かれてしまいました。
8. サドカイ派は、復活も御使いも信ぜず、永遠に生きる霊もないと主張する一方、パリサイ派は、それらを全部信じていたからです。
9. 議会は大混乱に陥りました。 ユダヤ人の指導者の中にも、パウロは正しいと論じる人が現われるしまつです。 彼らは大声でこう言いました。 「この人は別に悪いことなんかしちゃいないぞ。 たぶんダマスコへ行く途中で、何かの霊か御使いが語りかけたんだろう。」
23-24. それからすぐ、士官を二人呼び、「今夜九時、カイザリヤに向けて出発できるよう準備しろ。 兵士は二百名だ。 それと槍兵二百名、騎兵七十名も同行させろ。 パウロを馬に乗せ、総督ペリクス閣下のもとへ無事に送り届けるのだ」と命じました。
25. このとき司令官が総督に送った手紙は、次のようなものでした。
26. 「クラウデオ・ルシヤから、総督ペリクス閣下に、ごあいさつを申し上げます。
27. この者は、ユダヤ人に捕らえられ、危うく殺害されるところを、本官が兵を率いて駆けつけ、救出した者でございます。 それというのも、れっきとしたローマ市民であったからです。
28. その後、議会で、事の真相を調べましたところ、
29. 問題はユダヤ人の信仰上のことであり、この者を投獄したり、死刑にしたりするような事件ではないことが判明いたしました。
30. しかし、この者のいのちをねらう陰謀が巡らされているとの情報をつかみましたので、彼の身柄を閣下のもとに送ることにいたします。 また、この者を訴えたければ、以後は、閣下の前に訴えるようにと、その旨指示しておきました。」
31. その夜のうちに、兵士たちは命令どおりパウロをアンテパトリスまで護送し、
32. 翌朝、そこからカイザリヤまでは騎兵隊に任せて、兵営に引き返しました。
33. カイザリヤに着くと、騎兵隊は、司令官からの手紙といっしょにパウロを総督に引き渡しました。
34. 手紙を読み終えた総督が、出身地を尋ねたので、パウロはキリキヤだと答えました。
35. 総督は、「おまえを訴える者たちが来てから、くわしく取り調べよう」と申し渡し、ヘロデの官邸内の牢獄に、パウロを入れておくよう命じました。ローマ総督の前で