6. しかしイエスは、彼らに言われました。 「するままにさせておきなさい。 良いことをしてくれたのに、なぜ非難するのですか。
7. 貧しい人たちは、いつも身近にいるから、その気があれば、いつでも助けることができます。 しかし、わたしはもう、そんなに長くこの地上にいないのです。
8. この女は、精一杯のことをしてくれました。 わたしの葬りの準備に、香油を塗ってくれたのですから。
9. よく言っておきます。 世界中どこででも、神のすばらしい知らせが伝えられる所では、この女のしたことも必ず賞賛されるでしょう。」
57-58. そのうち、とうとう何人かが、「確か、こいつが『人間の手で造られた神殿をこわして、人間の手によらない神殿を三日で建ててみせる』とほざいているのを聞きました」と偽証しました。
59. しかしこの点でも、証言は一致しませんでした。
60. その時、大祭司が進み出て、イエスに問いただしました。 「おまえは、これらの訴えに答えないつもりか。 えっ、どうなんだ。 何も釈明する気はないのか。」
61. イエスは、ひと言もお答えになりません。 大祭司は続けて、「おまえは神の子、キリストなのか」と問い詰めました。
62. 「そのとおりです。 あなたがたは、やがてわたしが神の右の座につき、雲に乗って、もう一度この地上に来るのを見るでしょう。」
63-64. この答えに、大祭司は、即座に着物を引き裂き、こう叫びました。「これだけ聞けば十分だ! さあ、お聞きのとおりだ。 神を汚したこの男を、どうしよう。」こうして、イエスの死刑は全員一致で確定しました。
65. このあと、ある者たちは、イエスにつばきをかけたり、目隠しして、げんこつで顔をなぐり、「今なぐったのはだれだい。 さあ当ててみろよ。 預言者様」とあざけったりしました。 役人たちもイエスを引き取って、打ちたたきました。
66. 一方ペテロは、下の中庭にいました。 大祭司の女中の一人が、
67. 火にあたっているペテロに気づき、じっと見つめながら言いました。「あら、あんた。 ナザレ人イエスといっしょにいた人じゃないの?」