マタイによる福音書 26:62-74 リビングバイブル (JLB)

62.  大祭司はここぞとばかりに立ち上がり、イエスに問いただしました。 「さあ、黙っていないで答えたらどうだ。 ほんとうにそんな大それたことを言ったのか。 それとも言わなかったのか。」 

63. それでもなお、イエスは黙っておられます。 大祭司は続けました。 「生ける神の御名によって命じる。 おまえは神の子キリストなのかどうか。 さあ、はっきり答えてみろ。」

64.  イエスはお答えになりました。 「そのとおり、わたしがキリストです。 あなたがたは、やがてメシヤ(救い主)のわたしが、神の右の座につき、雲に乗って来るのを見るでしょう。」

65.  これを聞いた大祭司は、即座に着物を引き裂き、大声で叫びました。「冒涜だ! 神を汚すことばだ! これだけ聞けば十分だ。 さあ、みんなも聞いたとおりだ。 

66. この男をどうしよう。」一同はいっせいに叫びました。 「死刑だ、死刑だ、死刑にしろっ!」

67.  そうして、イエスの顔につばきをかけたり、げんこつでなぐったりしました。 中には、平手打ちを食らわせて、 

68. 「おい、キリストだってなあ。 当ててみろよ。 今おまえさんを打ったのはどこのどいつだい」とからかう者もいました。ペテロの大失敗

69.  一方、ペテロは中庭に座っていましたが、一人の女中がやって来て、「あら、あんたイエスといっしょにいた人じゃないの。 二人ともガリラヤの人でしょう」と話しかけました。

70.  ところがペテロは、「人違いだ。 変な言いがかりはよしてくれ」と大声で否定しました。

71.  まずいことになったと、急いで出口のほうへ行きかけると、また別の女中に見つかりました。 女中は回りの人たちに、「ねえねえ、この人もナザレから来たイエスという人といっしょだったわよ」と言いふらすではありませんか。

72.  ペテロはあわててそれを打ち消し、その上、「断じて、そんな男は知るもんか」と誓いました。

73.  ところが、しばらくすると、近くにいた人たちが彼のところへ来て、口々に言い始めました。 「いやーっ、おまえは確かにあの男の弟子の一人だぞ。 隠してもむださ。 そのガリラヤなまりが何よりの証拠だからな。」

74.  たじたじとなったペテロは「そんな男のことなんか、絶対に知るもんか。 これがうそなら、どんな罰があたってもかまわないぞ」と言いだしました。するとどうでしょう。 すぐに、鶏の鳴く声が聞こえました。 

マタイによる福音書 26