8. 勝利者となった雄やぎは高慢になり、強大な力を誇るようになりましたが、突然、その権力の絶頂で、大きな角がへし折られました。 すると、その折れた所に、四方に伸びた四本の角が生えてきたのです。
9. そのうちの一本は、初めは伸びるのが遅かったのですが、そこから小さな角が生え、やがて非常に強くなり、南と東とを攻撃し、イスラエルに戦いをいどみました。
10. 彼は神様の国民と戦って、その指導者たちの幾人かを打ち倒しました。
11. そればかりか、天の軍勢の主にさえ挑戦して、その方に毎日ささげられるいけにえを取り上げ、その神殿を汚したのです。
12. それでも、天の軍勢は、このような悪行にとどめを刺すことを禁じられていました。 その結果、真理と正義は姿を消し、悪が我が物顔に振る舞っていたのです。
13. それから私は、聖なる御使い二人が話し合っているのを耳にしました。 一人が次のように尋ねました。 「以前のように、毎日いけにえをささげることができるようになるのは、いつの日のことだろうか。 神殿が破壊されたことに復讐し、神様の国民が勝利を得るのは、いつの日だろうか。」
14. もう一人が答えました。 「二千三百日が過ぎてからだ。」
15. この幻の意味を知ろうと思いめぐらしていると、突然、目の前に、人のように見える方が立ったのです。
16. すると川の向こうから、「ガブリエル、この幻の意味をダニエルに教えてやれ」という人の声が聞こえました。
17. ガブリエルが近づいて来ると、私は恐ろしさのあまり立っていることができず、思わず地面にひれ伏しました。 ガブリエルは言いました。 「あなたが幻の中で見た出来事は、終わりの時に起こることだ。」
18. 私は意識を失って、地面に倒れてしまいました。 御使いは手を貸して起こし、立ち上がらせてくれました。
19. そして、こう言いました。 「私がここに遣わされたのは、恐ろしい終わりの日に起ころうとしていることを知らせるためだ。 あなたが見たことは、歴史の終わりに起こる出来事にかかわるからだ。
20. あなたが見た雄羊の二本の角は、メディヤとペルシヤの王のことだ。
21. 毛むくじゃらの雄やぎはギリシヤで、その大きな角は、ギリシヤの第一の王を表わしている。
22. その大きな角が折れて、代わりに四本の小さな角が生えてきたのは、ギリシヤ帝国が、四人の王に四分されることを意味している。 四人の王には、第一の王のような力はない。
23. これらの王国の末期に、その道徳的腐敗が極に達すると、非常に狡猾で抜け目のない一人の王が、怒りを込めて権力の座にのし上がる。