1. ダビデの息子の一人、アブシャロム王子には、タマルという美しい妹がいました。 ところが、タマルの異母兄にあたるアムノン王子が、彼女に深く思いを寄せるようになったのです。
2. アムノンはタマルへの恋に苦しみ、床についてしまいました。 未婚の娘と若者とは厳格に隔てられていて、話しかける機会さえなかったからです。
3. ところで、アムノンには、悪賢い友人が一人いました。 ダビデの兄シムアの息子で、いとこにあたるヨナダブです。
17-18. 召使を呼ぶと、「この女を追い出し、戸を閉めてくれ」と命じました。タマルは放り出されてしまいました。 当時、未婚の王女は、みな袖のある長服を着ていましたが、
21-24. 王はこの一件を耳にし、烈火のごとく怒りました。 しかしアブシャロムは、このことについては、アムノンに何も言いませんでした。その実、心の中では、妹を辱しめたアムノンに、煮えくり返るような怒りを覚えていたのです。 二年が過ぎました。 アブシャロムの羊の毛の刈り取りが、エフライムのバアル・ハツォルで行なわれた時、彼は父と兄弟全員を、刈り取りを祝う宴に招くことにしました。
29-30. こうして、アブシャロムの従者の手で、アムノンは殺されたのです。 びっくりしたのは、ほかの王子たちです。 めいめいのらばに飛び乗って逃げ帰りました。 彼らがまだエルサレムへ帰り着かないうちに、次のような知らせが、ダビデのもとへ届きました。 「アブシャロム様が王子様方を皆殺しになさいました。 生き残った方は一人もありません!」