サムエル記上 25:14-27 リビングバイブル (JLB)

14.  そうこうしている間のことです。 ナバルの下僕の一人が、アビガイルに一部始終を知らせたのです。 「ダビデ様がだんな様に、荒野から使者を立て、あいさつしてこられましたのに、だんな様ときたら、さんざんその方々を侮辱したり、なじったりなさったんです。

15-16. ダビデ様に仕える人たちは、とても私どもによくしてくれまして、こちらが迷惑したことなど一度もございませんでした。 実際、あの方々が、昼も夜も、城壁のようになって、私どもと羊を守ってくださったのです。 おかげで、いっしょにおりました間中、何も盗まれずにすみました。 

17. さあ早く、ここは、しかとお考えください。 このままでは、だんな様ばかりか、ご一家がひどい目に会うに決まっております。 だんな様はあのとおり頑固なお方ですから、だれもおいさめできないのです。」

18.  アビガイルは大急ぎで、パン二百個、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭分、炒り麦六十リットル、干しぶどうの菓子百個、干しいちじくの菓子二百個を取りそろえて、ろばに積み込みました。

19.  そして、若者たちに命じました。 「さあ先にお行き。 私はあとからついて行くから。」 もちろん、夫には何も告げませんでした。

20. こうして、ろばで山道を下って行ったところ、ばったり、こちらに向かって来るダビデに出くわしたのです。

21.  ダビデは道々、こう思っていたところでした。 「あいつのために、どれほど尽くしてやったことか。 荒野で、わしらが羊の群れを守ってやったおかげで、一頭も失わず、盗まれもしなかったんじゃないか。 なのに、恩を仇で返しやがった。 あれほど苦労して得たものが侮辱だけだったとはな。 

22. あすの朝までに、あの家の者どもは皆殺しだ。 もし一人でも生き残りがいたら、神様にこの身をのろわれてもかまわん。」

23.  アビガイルはダビデを見るや、さっとろばから降り、その前に深々と頭を下げました。

24.  「ご主人様。 この度のことにつきましては、私がすべて非難をお受けする覚悟でございます。 どうぞ、私の申し上げることを、お聞きくださいませ。 

25. ナバルは融通のきかないがさつ者でございます。 どうぞ、あの人の申しましたことなど、お気になさらないでください。 名前のとおり、愚か者なのです。 ところで、私は、お使いの方々とはお会いしておりません。 

26. ご主人様。 神様はあなた様が血を流しに行くのをやめさせ、復讐を思いとどまらせてくださいましたので、神様にかけて、また、ご主人様の命にかけて、お祈りいたします。 あなた様に刃向かう者はすべて、ナバルと同じように、のろわれますように! 

27. 実は、皆様方のために、贈り物を用意してまいりました。 

サムエル記上 25